情報を伝達するだけのジャーナリズムに価値はない

佐々木俊尚の未来地図レポートのアーカイブ Vol.117をお送りします
佐々木俊尚 2023.01.26
読者限定

佐々木俊尚現在の視点

 2010年、ネット言論がマスメディアに対抗する力を持ち始めていたころに書いた論考。ウィキリークスを題材にして、メディアとネットの相互作用の可能性について論じています。

マスメディアとネットはどう補完しあえるのか(前編)

 尖閣ビデオの漏洩問題がさまざまに波紋を投げ掛けています。ネットの論壇では「そもそもあのビデオを国家機密とするのには問題があったのではないか」「そもそも公開しなかった政府が悪い」「国民の知る権利に沿っていえば、海保職員を責めるべきではない」といった意見がかなり多く見られるようです。

 しかし一方で、たとえば毎日新聞は社説で「統治能力の欠如を憂う」「責任の所在を明らかにしなければならない」とぶち上げています。マスメディアを経由した情報は「国民の知る権利」だが、マスメディア経由でない内部告発情報は「統治能力の欠如」なのでしょうか?

 これはこれで驚くべきダブルスタンダード的言説ですが、とりあえず今回はそういうマスメディアのくだらない社説をあげつらうのが目的ではないので、ほどほどにしておきます。

この記事は無料で続きを読めます

続きは、2965文字あります。

すでに登録された方はこちら

読者限定
「人はただ記憶によって個人たる」攻殻機動隊が提示した哲学【伝説のSF漫...
読者限定
体も脳も代替される時代、人間の本質について【伝説のSF漫画を読み解く・...
読者限定
AI 時代の新教養(3)マーケティングのプロが完敗した「AIの見えざる...
読者限定
AI 時代の新教養(2)人工知能の育て方「バックプロパゲーション」とい...
読者限定
AI 時代の新教養(1)「閾値を超えると発火」AIと人間に共通する思考...
読者限定
AIがコピーした人格は偽物なのか?近い将来に直面する「不気味の谷」問題...
読者限定
AIが再現する人間の個性、「その人らしさ」とは何か
読者限定
「死んだ友人をAIにする」悲劇をテクノロジーで乗り越えようとしたロシア...