大震災とSNS(3)SNSをインフラに育てた「弱いつながり」の効能と副作用
佐々木俊尚現在の視点
2011年の東日本大震災をきっかけにツイッターは日本でも爆発的な普及局面に入ったと言われています。その原動力となったのは、災害時のさまざまな情報を迅速に流通させることができたパワーから。当時の空気感をもとに、そのパワーのありようについて分析した記事です。
震災でわかったソーシャルメディアのパワー(後編) 佐々木俊尚のネット未来地図レポート
今回の震災では「Twitterの限界を露呈した」といったこともさかんに言われました。デマがTwitterを経由して流布してしまうケースがきわめて大きかったからです。
しかしこの問題は「Twitterの限界」というよりは、「Twitterだけに依拠することの限界」ではなかったかと私はとらえています。ソーシャルメディアという包括的な情報流通基盤の中で、Twitteが持ちうる役割は限定的にすぎない。しかし今回の震災では、Twitterに頼るしかなかったということに問題があったのではないか、ということです。
インターネットの機能は大きく2つに分ければ、「情報流通」と「つながり」があります。極論すれば、いずれの機能が主になるかによって、ネットのサービスは二分できると言えるでしょう。
【情報流通が主であるネットのサービス】
検索エンジン
ウェブサイト
ブログ
メール
【つながりが主であるネットのサービス】
チャット
メッセンジャー
Skype
かなりざっくりとした単純化で恐縮なのですが、話を整理するため先に進みます。ソーシャルメディアも、こうした分類を行うことができます。たとえばSNSを例に挙げてみれば、GREEやモバゲータウンは情報はほとんど流通しておらず、ゲームというメディアを経由した「つながり」が中心のサービスであると言えます。
またFacebookは当初は大学内のつながりから発生したのでもわかるとおり、「つながり」メディアでした。しかし巨大化して広告効果などが期待されるようになっていった結果、2009年ごろから徐々に「情報流通」メディアへと変容してきています。これは気がつけばそうなったというよりは、広告を中心としたビジネスモデルを成長させるためにCEOのザッカーバーグら経営陣が意図的にそっちの方向へ持って行ったと考えた方が良いでしょう。
Twitterも同様です。基本的にはフォロー/フォロワーの身近な人間関係でのやりとりを想定してスタートしたこのサービスは、伝播力の早さや情報発信のハードルの低さなどが受け入れられて、日本でも急速に「情報流通」メディアとして成長してきました。
【情報流通ソーシャルメディア】
【つながりソーシャルメディア】
モバゲータウン
GREE
ミクシィはどうなってるのかって? そこが重要です。ここで、もうひとつの視点を提供しましょう。「ストロングタイズか、ウィークタイズか」という視点です。