情報が溢れる中で生き残るコンテンツの特徴
佐々木俊尚現在の視点
かつて読書はただ楽しんで読むため、学びのために読むためのものでした。しかし現代では読書はさまざまな「目的」のためになっています。「金持ちになりたい」「出世したい」「就活を成功させたい」「恋愛を成就させたい」。このようなベタな欲望が全面に出てきているのです。このような読書やメディア消費の時代の流れについて解説しています。
もはや本を読むことは目的ではない。目的地へと向かうためのツールである ーーだれでも理解できるおさらい新・メディア進化論(中編)
以前、バズフィードの取り組みを紹介しましたが、同じ新興メディアのアップワージー(Upworthy)も面白いこころみをしています。社会性の強い記事を紹介しているメディアなのですが、ここがしばらく前に取り組んでいたのがキュリオシティ・ギャップ(好奇心のギャップ)という手法。たとえば「この驚くべき事実についてアメリカ人ほとんどは知らない」というような見出しで好奇心を持たせるのですが、その中身については見出しに書いていない。いわゆる日本語でいう「釣り見出し」ですね。この好奇心を満たすために、人はついクリックして記事の中身を読んでしまう。
しかし日本の「釣り見出し記事」がそうであるように、見出しは派手なのにクリックして見ると中身はショぼいような記事ばかり増えてしまうと、質は下がってしまいます。ちなみにこういう釣り見出し記事のことを、スマートニュースの鈴木健さんは「フォークボール理論」と呼んでますね。ストレートで来たと思ったら、中身はがくっと落ちてしまう(笑)という意味です。
アメリカではこうした釣り見出し記事は、クリックベイト(クリックのおとり)と呼ばれていて、フェイスブックはついに2014年になって排除に乗りだしました。どうやって排除したのかと言えば、おおむね二つの方法があります。