2ちゃんねるという冷笑世界の後に、2005年のブログブームがやってきた2014.7.28
佐々木俊尚現在の視点
日本で本格的な「インターネット言論」と言えるものが立ち上がったのは1999年、2ちゃんねるの誕生だったと思います。そこからブログブームを経て、いかにして日本のネット言論は新聞やテレビ、雑誌などのマスメディアに対する対抗勢力となっていったのかを振り返った記事です。2000年代前半ごろはまだ、新聞やテレビの人たちはネットなんて落書きみたいなもので(いまでもかなりの部分はそうですが)自分たちの立場を脅かす存在になるなんて本気では信じていませんでした。
2ちゃんねるという冷笑世界の後に、2005年のブログブームがやってきた 〜〜インターネットの言論空間はどう変わってきたのか。その歴史を振り返る(1)
これから数回にわたって、日本のネット言論の変遷について振り返ってみようと思います。歴史を振り返ることで、今後のネット公共圏の可能性も展望できるようになるのではないかという期待感もありますからね。
さて、日本のインターネットに本格的に言論空間が立ち上がったのはいつのことでしょう。遡れば1980〜90年代のパソコン通信があります。インターネットではありませんけどね。パソ通では、部分的にはかなり興味深い議論が数多く行われていましたし、まだ20代だった私もあちこちの議論に参加していました。ただ参加人数はかなり限定的(たしか大手のニフティサーブなどでも会員数はトータルで200〜300万人程度。アクティブなユーザーはかなり少なかったと思います)で、公論というようなレベルではありませんでした。
インターネットを使って広く誰でも参加できるような議論の場が成立したのは、わたしは1999年の2ちゃんねるが最初だったのではないかと考えています。
とはいえ、2ちゃんねるは諸刃の刃でした。一方では企業への内部告発や、その業界にいなければわかりえない裏事情などがさかんに書き込まれて、情報のオープン化に寄与した部分はたしかにあるります。でも一方で、根拠のない誹謗中傷も無数にありました。とはいえ、それは情報のフィルタリングの問題でもありました。誹謗中傷などのノイズが溢れる一方で、少数ながら秀逸な書き込みや知られざる事実の指摘などのコメントも存在しているからです。1000の書き込みから成り立っているひとつのスレッドは、数十の秀逸な書き込みと、900以上のノイズで構成されているといえるでしょう。