無敵の人とネトウヨ、過激な両者の根本的な違い
佐々木俊尚の未来地図レポートのアーカイブ Vol.336をお送りします
佐々木俊尚
2022.09.08
読者限定
佐々木俊尚現在の視点
2000年代に起きてきた「ネトウヨ」というムーブメントについて論考した2015年の記事です。戦後、「反権力」を標榜するメディアが支配的だった言論空間は、愛国心や中韓への反発のような意識が無意識のうちに隠蔽されてきた部分もありました。これをインターネットが解き放ったのではないかという分析です。
「ネトウヨ」は「しんどそうな人たち」ではなく新しい政治勢力で ある 〜〜戦後のメディアと政治の構造から、新しい右派の誕生を分析す る
「ネット右翼」「ネトウヨ」と呼ばれるような人々が増えていま す。
多く読まれた安田浩一さんのノンフィクション『ネットと愛国』 は、象徴的な団体、在特会(在日特権を許さない市民の会)を取材 して「しんどそうな人たち」と評しています。「みんな、しんどそ うな人たちだった。どんなにカッコつけた物言いをしようとも、こ の社会で生きていくことが、本当につらそうな人ばかりだった」 「認められたい。見てほしい。そして喜ばれたい。松本に限らず、 在特会会員の多くからも、私はそんな強い欲求を感じてならない。 在特会の活動は、承認欲求を展開しているだけだ」
安田さんは雑誌の記事で、出会った在特会の会員のほとんどが 「非正規の労働者で、経済生活の不安定な人が多い」とも言ってい ます。こういう見方をしている人はジャーナリストだけでなく、一 般社会にも多いでしょう。でも本当にそうなんでしょうか。